全ての地形を
切り開く
Pioneer Grayson Murphy
Pro Runner
2019 World Mountain Running Champion
Pioneer Grayson Murphy
Pro Runner
2019 World Mountain Running Champion
Story by Katie Grossman
Photography by Kody Kohlman, Instagram: @kokody
トップに立つことは感動的で素晴らしいことです。しかし、自分ができることのピークに達したとき、どうやってそれを受け入れるでしょうか? 優秀なトレイルランナーのグレーソン・マーフィーにとって、それは終わりなき探究です。もし彼女がその回答を見つけたとしたら、もはやまったく違う道を目指すのかもしれません。
グレーソンは大学の2年生の時にトラックとクロスカントリーのテスト生として、自らのランニングキャリアをスタートしました。これは一般的なアスリートよりかなり遅いスタートです。しかし彼女そこから瞬く間に成長し、ランキングを上げていきました。最終的にグレーソンは5度のオールアメリカンD1レベルを獲得したアスリートとして卒業しました。彼女自身が「アウトサイダー(穴馬)」という位置付けを受け入れられたのはこれらキャリア初期の成功によるものです。グレーソンによると、自分の経験の欠如はデメリットではなく、むしろ財産だと語っています。「自分に競争相手のような経験や経歴がないことは知っています。逆にそれが私を助けてくれました。レースで簡単に勝てると思ったことがないから……すべては自分との戦い。自分が頑張るしかないの」。
– Grayson Murphy
大学卒業後、グレーソンは不利な条件をものともせず、NACACクロスカントリーチャンピオンシップで6位、10,000メートルで最高の自己ベスト(32:28:09)を達成、ランニングでプロとしてのキャリアを追求しました。自らのピークまで辿り着きそうなところで、彼女は新しい道へと舵を切りました。それはトレイルランニングという新しい道を走り出すことでした。そして再び、グレーソンは成功をつかみました。彼女はワールドマウンテンランニングおよびXTERRAトレイルランワールドチャンピオンシップで1位を獲得したのです。しかもXTERRAでは11分もリードしての勝利でした。
グレーソンを“アンダードッグ(恵まれない人)”と表現するのは違う気がします。その理由は“恵まれない人”というのは“期待”の存在を暗示していることになります。グレーソンは他人の期待を気にしていません。「すごいことができるような位置に身を置くことが大事だと思います」とグレーソンは言います。「結局、何もしないより、トライして、突っ込んで、最後まで精一杯やってみたいの」。
トラックからトレイルまで ─これはグレーソンに強みを与える考え方です。グレーソンは何よりもその瞬間に集中していて、結果がどうなるかどうかをまったく気にしていません。彼女が大きなレースの真っ最中であっても、毎日のランニングのトレーニングであっても、その同じ集中力で険しいスイッチバックをトラバースし、急な斜面を駆け上り、フィニッシュラインを通過するまで、力、正確さ、そしてリズムで、大地を踏みしめます。
「大きなレースに参加する際に先入観を持たないことが本当に役立ちました。先のことを心配するより難局に出くわすたびにそれを乗り越える、ただそれだけです」
グレーソンは自分の成功が彼女の型破りなアプローチのおかげだと言っています。そして、彼女が紛れもなくアウトサイダー(穴馬)からアウトライヤー(桁外れ)に進歩する上で、それは、リスクを取り個人の限界を超えてトップの位置をキープするという、グレーソンのコミットメントなのです。
グレーソンのレース界での次の動きはまだ未定ですが、彼女の人生におけるランニングの捉え方、そして新たにさらなるベストを見つけるための恐れを知らないアプローチが、成功のキャリアを約束することは確かです。それを決められるのは彼女自身ですから。
「将来がどうなるのかわからないけど、チャンスがある限り、限界に挑戦しつづけます。─ つまり、結局私は幸せになるってことね」。
トレイルランニングのための軽量性を詰め込み、BOAフィットシステムのすべての特徴がトレイル上で敏捷性とスピードを提供するように設計。サッカニーのスイッチバック2はトレーニングとトレイルランニングレースにおけるグレーソンのチョイスです。
バイクでのクロストレーニングの際、すべてのターン、スプリント、そしてクライムのための精密な微調節を得るためにグレーソンはスペシャライズドのトーチ3.0を使用してダイヤルインしています。
容赦のないクライム時でも最適なベンチレーションを実現するように設計されたヘルメット。グレーソンはバイクでのクロストレーニング時に確実なフィットのためにBOA搭載のオークリー ARO3を使用しています。